急性白血病とは
骨髄内にある未熟な血液細胞の遺伝子に異常が生じて血液細胞ががん化し、それらが未熟なまま無制限に増殖することで正常な血液細胞が造れなくなる血液がんの一つです。がん化した未熟な細胞(白血病細胞)の種類によって急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に分けられます。
症状
骨髄内の白血病細胞の増殖によって正常の血液細胞(白血球、赤血球、血小板)が造れなくなります。そうすると正常な血液が不足することになります。白血球はバイ菌から体を守っているため、白血球が不足すると肺炎などの感染症にかかりやすく、高熱が出ることがあります。またバイ菌に対する抵抗力が下がってしまい、重症となることがあります。赤血球は体に酸素を運んでいるため、赤血球が不足するとめまいやだるさ、動悸、息切れを起こすようになります。血小板は出血を防いだり止血をするため、血小板が不足すると粘膜から自然に出血したり、血が止まりにくくなったりします。
また白血病細胞が全身の臓器に広がると臓器が正常に働かなくなることがあり、肝不全や腎不全などの臓器不全を起こします。
診断
血液検査で白血球の増加や減少、貧血、血小板減少が認められます。血液中に白血病細胞が増加することもあります。
骨髄検査で白血病細胞の増加、正常細胞の減少を認めます。
血液や骨髄の細胞の中で白血病細胞が20%以上あると急性白血病の診断となります。
治療法
一般的には多剤併用の化学療法を行い、白血病細胞を全滅させる治療を行います。正常細胞もダメージを受けるため、強い副作用が出る治療になります。白血病の種類により治癒率は異なるため、難治性の白血病の場合はより強度の強い治療である造血幹細胞移植を行うことがあります。 逆に御高齢の方の場合は治療強度を弱くした治療を行う場合もあります。
骨髄異形成症候群とは
骨髄内にある未熟な血液細胞の遺伝子に異常が生じて血液細胞ががん化し、それらが正しく成熟できなくなり、正常な血液細胞が造れなくなる血液がんの一つです。産生される血液細胞は正常な働きができず、また成熟の途中で壊れてしまいます。また進行すると未熟な細胞(白血病細胞)が無制限に増殖するようになり急性白血病の状態になることがあります。
症状
正常の血液細胞(白血球、赤血球、血小板)が造れなくなり、正常な血液が不足します。白血球はバイ菌から体を守っているため、白血球が不足すると肺炎などの感染症にかかりやすく、高熱が出ることがあります。またバイ菌に対する抵抗力が下がってしまい、重症となることがあります。赤血球は体に酸素を運んでいるため、赤血球が不足するとめまいやだるさ、動悸、息切れを起こすようになります。血小板は出血を防いだり止血をするため、血小板が不足すると粘膜から自然に出血したり、血が止まりにくくなったりします。
診断
血液検査で血液細胞の異形や、白血球減少、貧血、血小板減少を認めます。
骨髄検査で血液細胞の異形や染色体異常を確認することで確定診断となります。
治療法
根治が難しい病気であり、お付き合いしていくこととなります。一般的には貧血などの症状に対して輸血を行ったり、感染症に対して抗菌薬による治療を行います。
また貧血に対してはエリスロポエチンという赤血球造血ホルモンを使用することがあります。
白血病細胞が増加している場合や、輸血が頻回になっている場合はビダーザという抗がん剤を使って状態を落ち着かせる方法もあります。
若年の方ですと根治を目指して同種造血幹細胞移植を行うこともあります。
慢性骨髄性白血病とは
骨髄内にある未熟な血液細胞にフィラデルフィア染色体という異常が生じて血液細胞ががん化し、それらが成熟しながら増殖する血液がんの一つです。成熟して増殖した細胞は正常の細胞と見た目と働きはほぼ同じなので、すぐには症状が出ません(慢性期)。しかし数年の経過で細胞に異常が出現し、未熟な細胞(白血病細胞)が増殖し脾臓が腫れたり、貧血や発熱を伴うようになります(移行期)。さらに進行すると、白血病細胞が無制限に増殖する急性白血病と同様の状態となり命に関わることがあります(急性転化期)。
症状
初期の慢性期であればほとんど症状はありません。慢性期の方は無症状ながら健診の血液検査で見つかる方が多いです。しかし未熟な細胞が増える移行期になると、貧血や発熱が出現したり、脾臓と呼ばれる左上腹部の臓器が腫れるため腹部の膨満を認めることがあります。急性転化期は急性白血病と同様ですので、正常血球の減少による症状として感染症による発熱、貧血による動悸、息切れ、血小板減少による鼻出血や紫斑などを認めることがあります。
診断
血液検査や骨髄検査で成熟細胞が増加していることが確認され、フィラデルフィア染色体が認められれば慢性骨髄性白血病の診断になります。
治療法
慢性期の場合、チロシンキナーゼ阻害剤という内服薬を使用することで、進行を抑えられます。効果があれば長期間安定した状態を保てます。移行期や急性転化期の場合は、チロシンキナーゼ阻害剤に加えて、複数の抗がん剤を用いて治療を行うことがあります。
悪性リンパ腫とは
白血球の一種の細胞であるリンパ球ががん化(リンパ腫細胞)して無制限に増殖し、全身のリンパ節やリンパ組織に腫瘤を作ります。また、リンパ球は血液やリンパ液によって全身に回る性質があり、全身の様々な臓器に転移して広がっていく可能性のある病気です。
症状
主な症状としてはリンパ腫細胞が集まってできるリンパ節の腫れや圧迫感です。 他にはリンパ腫細胞から発せられる熱物質により発熱、体重減少、激しい寝汗を認めることがあります。さらに臓器に転移した場合は転移した臓器による症状(肝臓ならば黄疸、脳ならば麻痺など)を認めます。
診断
まず診察やCT、PET検査による画像検査でリンパ腫の腫瘤を確認します。確定診断はリンパ腫細胞を病理検査(顕微鏡などによる精密検査)で確認することによります。
治療法
一悪性リンパ腫には数十もの多くの種類があり、それぞれによって治療法が異なります。
悪性リンパ腫は全身に広がりやすいため、一般的には全身にいきわたる抗がん剤を用いた薬物療法が行われます。リンパ腫の種類によっては放射線療法や手術療法が行われることもあります。
固形腫瘍の中では比較的治療効果が得られやすい腫瘍です。リンパ腫の種類によって治癒率は異なります
多発性骨髄腫とは
血液細胞の一つで、体内に入ってきたバイ菌などから体を守る抗体を作る形質細胞ががん化(骨髄腫細胞)した血液がんです。骨髄腫細胞は異常な抗体(Mタンパク)を産生し、体の様々な部位に異常を来します。また、骨髄で増殖し、貧血や骨折を起こすことがあります。
診断
骨髄中で骨髄腫細胞が増加することにより正常な血液細胞が造られなくなります。正常血球の減少による症状として感染症による発熱、貧血による動悸、息切れ、血小板減少による鼻出血や紫斑などを認めることがあります。
骨髄腫細胞の作用によって骨がもろくなり、骨折や高カルシウム血症を起こすことがあります。
Mタンパクが大量に作られることで、血がドロドロになる過粘調度症候群をきたすと、頭痛や目が見えにくくなることがあります。Mタンパクは腎臓や心臓、消化管に沈着し腎障害やアミロイドーシスと呼ばれる臓器不全を起こすことがあります。また、正常な抗体が少なくなることで感染しやすくなります。
治療法
一悪性リンパ腫には数十もの多くの種類があり、それぞれによって治療法が異なります。
悪性リンパ腫は全身に広がりやすいため、一般的には全身にいきわたる抗がん剤を用いた薬物療法が行われます。リンパ腫の種類によっては放射線療法や手術療法が行われることもあります。
固形腫瘍の中では比較的治療効果が得られやすい腫瘍です。リンパ腫の種類によって治癒率は異なります。